『
オール・ユー・ニード・イズ・キル』
タイムループの力を得て、幾度も同じ瞬間を繰り返しながら成長する物語。
日本原作を親日家のトム・クルーズが主演というのもうれしい驚き。
謎の生物“ギタイ”の侵略に世界は終末も近い状況。
メディア担当だったケイジ少佐(トム・クルーズ)も前線で戦う羽目になる。
…が、なぜか死ぬたびに元に戻るという現象が…。
表向きは近未来SF戦争映画でゲーム感覚の面白さが支配するが、何度も“出来るまで”ループするというのは閉鎖的な現代社会を象徴するようであり、自分の得意分野と違うことを押し付けられて閉口するサラリーマン像も浮かぶようである。
突然、上司からの命令で不条理な職務を押し付けられる…、まさに我々の社会そのものではないか。
それであっても逃げ回らずに立ち向かってことを成し遂げることでヒーローとなる…まさに娯楽映画として王道を感じさせる。
ヘタレだった“デスクワーク”ケイジ少佐が、手練れの戦士に変貌する様は映画の醍醐味であろう。
ファースト・チョイスだったと聞くリタ・ヴラタスキ軍曹役のエミリー・ブラントがか弱そうでも芯の強さを見せるアプローチは印象的。特にケイジと初顔合わせのシーンのしなやかさと強靭さを思わせるポーズの取り方に強く思う。
同じシーンを重ねるごとに変えてゆくのは、テイクごとに演技を変える俳優業にも通じる気がしてならない。是非ともその辺は当人たちの感想を聞いてみたい。
全く架空の話なので思い過ごしかもしれないが、どこか下敷きに第二次世界大戦を感じさせる。
舞台となる主要舞台が英国・フランス・ドイツで、特に高性能(?)な敵“ギタイ”はナチの数々の発明品を想起させ、また最初の降下地はノルマンディー上陸作戦を感じさせるから…。
監督は『ボーン・アイデンティティ』のダグ・ライマンだけあって戦闘シーンには迫力と臨場感がある。
編集が巧みで観客にルールを教えたあとで何度も繰り返すループを決して飽きさせずに見せる腕前はさすがの一言。
映画では初めて許可されたというトラファルガー広場でのロケも目を引く。
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