『
チョコレートドーナツ』
こんなんズルいわ、愛するしかないじゃない。
実際に70年代にあった出来事を基にしたらしいが、1979年カリフォルニアのゲイバーでパフォーマーとして日銭を稼いでいるルディと、ジャンキーの母親から育児放棄されたダウン症の少年マルコ。それに家庭が崩壊して社会の落伍者となり、ルディと恋に落ちるまではストレートだったポールの三人が疑似家族になろうというもの。
世の中から居場所をなくし、迫害・差別にあいながらも暖かな家庭を築こうというマイノリティの集まりというだけで、泣けないはずはない。
「全米が泣いた」という嘘くさいキャッチコピーをよく耳にするが、
これは正真正銘「全米が泣いた」作品であろう。(推測)
でしゃばることなく慎ましい幸せを望んでいるだけなのに、世の偏見やおせっかいな法律が彼らを放っておかない。
やがて映画は法廷ドラマの様相を呈するが、思わぬ展開が待ち受ける…。
泣けるとはいっても安易なお涙ちょうだいモノではなく、痛烈な社会批判映画。
型通りといえば言えなくもないが、実話ベースの強みは感じる。
主演三人のキャストが抜群。
ルディを演じたアラン・カミングの愛らしさと心の伝わる歌唱。ポールを演じたギャレット・ディラハントの受けの芝居の冴え。実際にダウン症であるアイザック・レイヴァも彼なくして成り立たないほどのハマりよう。
人が人らしく生きる権利、互いに愛する者同士への壁は法律で縛り上げられるものなのか。
話の基になった当時に製作されていたらもっとインパクトはあったと思うが、今見ても訴える力はあるだろう。ただ、より受け入れられる土壌がある今だからこそ「ズルい」とは思うけど。(笑)
マルコの好物を取り上げた邦題は珍しく原題(『Any Day Now』)よりもマッチしているか。
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