『
アクト・オブ・キリング』
人は見たいものしか見えない。
しかし、臭いものに蓋をすれば<なかったこと>になるわけではない。
海外での評判から、これが本年度のアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門を受賞するとばかり思っていた。もちろん、受賞作が悪い作品だとは言わないが、
これと比べたらずいぶん生ぬるい。
所詮アカデミー会員はショービジネスの世界に生きる人たちなのかと肩を落とす…。
米国人監督ジョシュア・オッペンハイマーによるスカルノ大統領時代にインドネシアで起きた大虐殺の加害者に迫るドキュメンタリー。
被害者への取材は制限されているために、では加害者ならどうだろうということで始まったものらしい。“正義”を盲信し、凶行に走った過去を「当事者で再現してみて欲しい」と。
今もなお反省の色もなく、“英雄”としてインドネシアに暮らすアンワルとその仲間たち。
映画になるなら素晴らしいと意気揚々と撮影に入る。
無論、この企画は彼らの<手口>を知るためのものではない(そういう側面は描かれるし、興味深いが…)、ましてや彼らを称えるためでもないことは明白。
記憶を呼び覚まし、映像という形で客観視させることが狙い。
撮影を始めた当初はぎこちなかった彼らも次第にノリノリになって、本領発揮されていく様は身の毛もよだつほど。
アンワルが幼い孫に武勇伝を得意満面で語るシーンなど、とんでもないブラック・ジョークを見せられているのかと頭がクラクラする。
“個性的”なキャラクター像から『ゆきゆきて、神軍』が引き合いに出されるのも頷ける。
協力者の多くが<匿名>でクレジットされているのも作品の性質を物語っている。
一説には100万人ともいわれる虐殺事件なのに西側諸国は異を唱える国がなかったという。
もちろん“我らが日本”もこの一味。日本はスハルト体制を支持していたということは婉曲に加害者側を擁護していたことになるのじゃないか。
その一国民として、決して目をそらしてはいけない。<知らなかった>で済ますのは再び加担することと変わりない。
人は見たくないものを見ないものだが…。
(願わくば、編集も違うという長尺完全版を見てみたいものだ。)
ついでに映画評論家、町山智浩がデヴィ夫人と映画の宣伝で司会を務めた時の内容(ラジオ放送)が上がっているので、興味ある方は…。
http://numbers2007.blog123.fc2.com/blog-entry-3683.html
これじゃ<
マスゴミ>といわれることは反論できないよね。(苦笑)
<劇場情報>
土曜から上映されていますが、土日は酷い混雑だったらしい…と、Twitterで流れていたので、平日(今日)見に行きましたが、それでも立ち見が出るほどの盛況ぶり。
シアター・イメージ・フォーラムは、当日分の受付を朝に開始するので、早めに整理券をもらったほうがいいです。(関東はここ一館のみ)
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