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2014年03月09日22:21

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『ドストエフスキーと愛に生きる』

『ドストエフスキーと愛に生きる』

 「負い目があるのよ」
冒頭で自身の人生を省みるように、彼女の口からこぼれ落ちた言葉から引き込まれる。

 日本でも古典や海外作品の新訳によって新たな命を吹き込まれているケースは多々ある。
ドイツにおいても再評価につながったドストエフスキー作品の新訳があるそうで、その翻訳家<スヴェトラーナ・ガイヤー>にまつわる驚くべきドキュメンタリー。

 普段は80歳を超える現役の翻訳家としてプロの顔を見せながら、家事もしっかりとこなす。
さすが言葉を生業にしているだけあり、次から次へと出てくる<名言>の連打に感服する。
とてもクレバーでチャーミングな女性で、言葉の精査・刷り合わせをしている段階も相当興味深いのだが、途中から大きく方向転換する。

 自身のルーツとなる祖国への旅に出て、封印された過去が詳らかになってゆく。
彼女は、今、世間を騒がせているウクライナ生まれで、後年ドイツに移住したという。
ちょうど彼女が青春時代を生きたのは第二次世界大戦の最中。
<スターリン粛清><ナチスによる占領><ユダヤ人虐殺>と悲惨な時代を生きてきた。
幸か不幸か、彼女はロシア語以外にドイツ語が出来たために生き延びることが出来た。
だが、それが人生に暗い影を落とすことになる。

 山形国際ドキュメンタリー映画祭で『5頭の象と生きる女』というタイトルで上映されたらしい。確かにこちらの方が原題に近いが、これでは誤解されやすいと踏んでの『ドストエフスキーと愛に生きる』なんだろう。しかし、これもわかりやすいかと問われたら首を傾げる。
むしろ、最後までみれば『5頭の象…』の方が「なるほど」とうなずけるのではあるが…。(苦笑)

フォト


 スヴェトラーナ・ガイヤーはドストエフスキーの『罪と罰』を『罪と贖罪』というタイトルに変えて翻訳したらしい。なぜ彼女がそういう題に変えたのか、そもそもなぜドストエフスキーを題材として選んだのかを知ったときにその重さがズシリとのしかかる。


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