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2013年12月08日21:45

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『トランジット』@第14回TOKYO FILMeX2013

第14回TOKYO FILMeX2013

『トランジット』

 経済状況の格差があれば当然起こりうる状況。
富める国は労働力が欲しい、貧しい国では就職先が欲しい。
ただ、需要と供給のバランスが取れていても、社会のルールが邪魔をする。

 生活のためにイスラエルで移民就労するフィリピン人のモイゼス。
政府の者に見つかると息子が強制送還される心配があるため、息を潜め肩身の狭い思いをしてあらゆる手段で隠し通しているモイゼス一家。受け入れられないよそ者の厳しい現実が綴られる。
雇用者と被雇用者の権利は対等であるべきで、弱みに付け込んだ仕打ちをするイスラエルの横暴をこれが長編デビュー作であるハンナ・エスピア監督は嘆く。

 社会派ドラマでありながら娯楽性を持たせているのが良い。いつ息子が見つかるのかというハラハラ感と、時間軸をバラバラにして再構築しミステリアスなパズルを解くように<ある事件>を複数の視点から描いてみせる力量は中々の才女ぶり。

 アメリカの映画やドラマを見ていると、やはり不法移民や不法就労の問題がある。
しかし、親が誰であれアメリカで生まれた者はアメリカ国籍を持つという話を耳にする。
だがイスラエルではそうではないらしい。2009年に外国人の子どもは強制送還となることが法律で変更となったという。労働者として大人は利用するが、子どもは要らないという勝手な言い分。
これまで散々迫害されてきたというイスラエルであっても弱者の視点には立てないというダブルスタンダード。

 欧州では移民排斥運動が強くなってきているが、本音と建前があるのはどこも同じ。
権力の影で都合よく酷使されるのは常に市井の人に他ならない。
人があっての国家なのに人権を蔑ろにすることの多さよ。

 息子を守ろうと顔を隠すフードが女性を思わせたり、女性の登場人物も多く、また語られる視点も女性監督らしいと感じた。
無邪気な子どもの様子と、健気さが胸を締め付ける。
最後のシーンは答えの出ない現状を暗喩しているのか。

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