今年の
フィンランド映画祭2013はまたもや開催場所を変えて、六本木ヒルズで催されている。
アキ・カウリスマキのお兄さんも映画監督をしていて、今回新作を引っさげて来日したようだが仕事の都合で取れずじまい…。
ちなみに名前はハルでもナツでもない。(笑)
アキ・カウリスマキの兄・ミカの新作
『旅人は夢を奏でる』は来年1月に公開されるらしいので、それを待とうか。
頑張れば(?)それ以外はリピート上映があったので見ることも可能だったのだが、なんせ先に様々な映画祭がつかえているので、二本だけ…。
『灯台守の少年』
息苦しい映画。それは孤立する灯台の閉鎖的空間というだけではない。
一家で灯台守として暮らすヴィルヘルム。古風で独裁者ともいえる父親像を見せ付ける。
その一家に割り込むように島に送られて来たカール少年が灯台守の後継者となるべく努力し、家族を変えてゆく。
一家の構成は何事も控えめな母とカールと同年代の少年グスタフに幼い妹と愛犬。
「灯台下暗し」などというけど、まさにこの家族には<灯>がない。
いや、かつては存在したのだろう。そこへ不思議な…しかし聡明な少年カールの出現が、父に対して絶対的服従を示し停滞していた家族の心にほんのり<灯>を点す。
暴君である父の振る舞いに怒りがわかない人はいるだろうか。
単に肉体的暴力というだけでなく、精神的にも<自分の都合>を押し付ける。
子供のささやかな楽しみさえ許さず、自分の夢の計画しか存在しない。
しかし逃げ場がないからこそ、リーダーが間違っていても従い認められることでしか生き延びられない不幸が彼らを襲う。そして抑圧の先に待ち受けるものは歴史の独裁者が語っている…。
冒頭に登場する灯台を上部から見た
美しい螺旋階段の構図が効果的。
これから始まる物語の<負のスパイラル構造>を印象付ける。
キャストの子どもたちが良い。
特に主演のカール役の子の鋭い視線がこれまで背負ってきた人生を表しているようだ。
音楽が作品の“主旋律”を奏でる。
世間から隔離された島の風景が抜群で、この景色があればこその映画であろう。
フィンランド映画だが、スウェーデン語が使われている。実はフィンランドの5%くらいの人口はスウェーデン語で生活しているのだそう。
映画には壮絶なクライマックスが待ち受けているのだが、ラストを単純な希望と見てよいのか…。くすぶり続けるものが後を引く。
(アカデミー賞外国語部門フィンランド代表作品)
ログインしてコメントを確認・投稿する