『
コン・ティキ』
夢を追いかける。
言うはたやすいが実行には時として困難が付きまとう。
ポリネシアの住民の起源がペルーの遺産や言葉などと共通項目が多いと知ったノルウェーの人類学者であり探検家のトール・ヘイエルダールは仮説を発表する。
「大昔に太平洋を筏で渡ったに違いない!」と。
せせら笑う世間に対し自説の証明のために
昔のペルー人の船で航行実験を敢行しようという話。
トール・ヘイエルダールという男は幼少時から無鉄砲で通っていたようで、根っからの冒険家タイプ。
どう考えても無謀な旅に思えるが、未知のものへのロマンもあったのか驚くべき行動力には敬服する。
しかし、現実よりも夢を優先することが亀裂を生むのも当然といえよう。
ノルウェー映画史上最大の予算で作られたというだけあり、撮影が美しくセットも見事で映画にかける意気込みが感じられる。
嵐や長期の航行に筏は持ちこたえるのか?サメに襲われないのか?病気にならないのか?
心配は尽きないが突き動かすのはただ一点<情熱>。
かのシュリーマンが遺跡を発見したのも<情熱>であろうし、夢を追う信念こそ大切であるというのは時代や国境を超えて伝わる。
ただ、大海原の映像は一見の価値はあるかと思うが、実話に縛られているためか少々単調にも感じる。
未見だが、オスカーを受賞したドキュメンタリー映画『Kon-Tiki』がある以上、表層的にそのままなぞるより、想像を加えてでも乗組員の内面を掘り下げ、陸上の人間ドラマをもう少し織り込んだら良かったようにも思うが、製作サイドの目的とは違うだろうか?
夢追い人だったヘイエルダールにはビターな顛末も待ち受けているが、
困難に挑戦し実践したことの偉業は変わらない。
蛇足ながら<ポリネシア人の先祖はペルー人>という説は、現在のDNA鑑定などからはほぼ否定されている。
評判が今ひとつなのにあえて見たのは、アカデミー賞外国語部門ノミネートの最後の一つだということと初めて行く劇場に興味があったからです。
(川崎市アートセンター)
ロビーには今村昌平が『うなぎ』で受賞したカンヌのトロフィーが飾られていました。


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