『ウェリントン将軍〜ナポレオンを倒した男〜(仮)』@
フランス映画祭2013
巨匠ラウル・ルイス監督が手がけるも完遂できずに永眠…、遺志を受け継ぎ、妻であり編集スタッフでもあり自身監督業もこなすヴァレリア・サルミネントが完成させた一大戦争絵巻物。
日本で彼女の作品が公開されるのは初めてということ。
元々
ナポレオン撤退200周年記念(!)という企画から誕生したらしい。
ナポレオン時代のポルトガルとフランスの戦争を描き、フランス軍が撤退した数少ない敗戦ゆえ今でもフランスではあまり知られていないということ。
仮の邦題を見るといかにも主人公はウェリントン将軍で、彼の英雄譚が語られるのかと思うが実際は少し違う。
原題は<
ウェリントンの防衛線>という意味合いで、圧倒的な武力で進行してくるナポレオンに対し団結して一矢報いたということは弱者にとっても希望を与える出来事であったろう。
日本での公開作品は少ないラウル・ルイスだが、2012年公開の『ミステリーズ 運命のリスボン』の印象と比べると驚くほど手法を踏襲していることに気がつく。
映画のリズムや流れ、さりげない日常のユーモアなどが酷似しているのだ。
ロケーション場面を撮影していても、あたかも舞台を撮るように観客の視点で見せられる。
派手なアクションを感じさせず、カメラのパンの横移動が多いので<絵巻物>を見るかのようである。
見る人によっては淡々とした演出が長く感じるだろうし、実際長い。(笑)
大きな違いといえば、
監督が女性になったためか、キャストの女性たちが端役でも生き生きと描かれていること。
監督曰く、過去の凄惨な戦争があって現在の欧州は成り立っているということを知らしめたかったということ。人間はいつまでも学習しない悲しい動物ですね。
ともかく豪華な出演者に目が行く。
ジョン・マルコヴィッチ、マチュー・アマルリック、カトリーヌ・ドヌーヴ、ミシェル・ピコリ、イザベル・ユペール、メルヴィル・プポー…いずれもラウル・ルイス監督と親交があった俳優たちで、オマージュを捧げる意味でも出演を快諾してくれたということ。
ちょっと素敵な話。
2014年、シネスイッチ銀座他 順次公開予定
監督のトークショーとサイン会がありました。
物静かなオバサン(失敬)という雰囲気でしたが、淡々とした口調からも揺るぎない自信が顔をのぞかせているようでした。

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