『
セブン・サイコパス(原題)』
個性的な癖のある俳優陣による奇妙なクライム・コメディ。
複雑な入れ子構造と芸達者なアンサンブルが見もの。
誘拐した犬を素知らぬ顔で飼い主に「見つけた」といって報酬を受けるセコイ裏家業をしている連中がいる。そのうちの一人、マーティ(コリン・ファレル)という脚本家は『セブン・サイコパス(七人の精神異常者)』というタイトルだけ決まっているが、内容が浮かばなくて困っていた。
親友で売れない俳優のビリー(サム・ロックウェル)のアドバイスで打開しつつあった頃、誘拐した犬の中で<
ヤバイ飼い主>がいたことが分かり、命を付けねらわれることになる。
サイコパスによるサイコパスを巻き込んだサイコパス映画。
どうしてもタイトルに『七』がつくと
『七つの大罪』の置き換えではないかと思ってしまう。
『SEVEN』ほどストレートではないが、おそらく底辺には流れていると思われる。
それよりも構造のユニークさが際立っているので、うっかりすると
今<どこにいるのか>が分からなくなる。
現在進行形のリアルな舞台と劇中劇の境界線があってないようなものなのだ。
ただ、最後にはバラバラのピースがはまってゆく快感にニヤリとなる。
シリアスなのにオフビートなタッチは
コーエン兄弟の映画に通じる可笑しさがあるかもしれない。
劇中で流れる
『その男、凶暴につき』は笑いと生臭い犯罪が隣り合わせだという暗喩か。
英国人マーティン・マクドナー監督は、「最後はドンパチで盛り上げなきゃ」というハリウッドのテンプレートを皮肉っているように感じる。まさにクライマックスはそれを実証してみせる。
ともかく魅力的なのは渋い俳優たち。
上記以外に
クリストファー・ウォーケン、ウディ・ハレルソン、トム・ウェイツ…などなど。
こわもて連中に愛くるしい動物を抱かせるのは反則だ。(笑)
これだけドンパチがあるのに動物は平和そのもの。そこはかとない動物愛(?)が溢れているのも特色か。殊にシーズー犬が好きな人はイチコロに違いない。
ちょい役で『プレシャス』のガボちゃんを見かけた、実にお久しぶり。
(今年公開予定あり)
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