『
ビル・カニンガム&ニューヨーク』
なんとも痛快なおじいさんだ。
カーネギーホールに賃借し、颯爽とNYの街を自転車で駆け抜け、いつでもどこでも狙った獲物(?)は逃さない。
NYタイムズにコラムを持つ名物ファッションカメラマン、ビル・カニンガムを追ったドキュメンタリー。
とかく有名になると権威を振りかざしたりしたくなるもの。
凡人なら仮面をつけて偉人のフリをしたくなる欲求に駆られるだろうが、そんなものとは無縁で、<ザ・凡人>を追及する。それこそ、真の偉人であろう。
机上の学問を笑い飛ばし、被写体ともたれあいにならない関係でいるための努力には、見ているこちらの身が引きしまる思いだ。
こだわるのはともかく仕事のことだけ。究極の仕事人間といってもいいほど。
ビルにとって被写体はセレブも庶民も全てが平等。権威にすりよらない姿は小気味よい。
無駄な贅肉をそぎ落としたからこそ生まれ得たであろう慧眼と“
ビル語録”に感服。
そんな仙人のようなビルは何を聞かれてもニコニコと微笑みながら返答するが、一瞬言葉に詰まる時がある。
<人間>ビルの素顔が覗く瞬間。このパンチが作品に効いている。
つまるところ彼の最大の強みは何も持たないことだろう、膨大なネガと自由以外は。
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