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2012年08月25日00:27

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『声をかくす人』

『声をかくす人』

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 敵味方に分かれて戦争をした後で、人々は冷静な判断が出来るか?
南北戦争直後、リンカーン大統領が暗殺されたことは有名。
しかし、その犯人たちがいかなる裁判を受けたのかという詳細は知らなかった。

 もちろん、ここに見えるのは<公平な裁判>の難しさという視点もあるが、背後にはイラク戦争後のアラブ系への偏見や差別が見て取れよう。
ケン・ローチの『ルート・アイリッシュ』もそうだったが、少しばかり日本では公開が遅れた。ロバート・レッドフォード監督で、出演にはジェイムズ・マカヴォイ、ロビン・ライト、ケヴィン・クライン、トム・ウィルキンソン等が名を連ねても時間がかかるのか。
様々な事情があるにせよ、(イラク戦争疑惑への熱が冷めつつある今)その点では少しピントが甘くなるのは仕方ない。

 もちろん、直接的にはイラク戦争とは無関係なので歴史の真偽ものや裁判ものとして純粋に楽しむことが出来るし、<先入観と偏見>というテーマで言えば普遍性も十二分ある。
北軍として従軍したジェームズ・マカヴォイ扮するフレデリック・エイキン弁護士が容疑者の一人(メアリー・サラット)を感情と正義とのハザマで揺れ動きながら弁護するという立ち位置が物語を分かりやすくリードしている。
近年だと『ドライヴ』も手がけ、ブライアン・シンガーと組むことが多いニュートン・トーマス・サイジェルの撮影はとりわけ光の取り込みが美しく、時に神々しささえ感じさせる。

 原題は『The Conspirator』、直訳すれば『共謀者』『陰謀者』という意味。
邦題の言わんとするところも分からなくはないが、単に容疑者メアリーのことを指すだけでなく、判断を誤れば我々も同罪であるという意味合いも含まれていると思われるので、ここもピントが甘くなっている気がする。

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10月、銀座テアトルシネマなど順次公開


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