国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展
ロシアを代表する写実画家レーピン。
日本でこれだけまとまった形で特集されるのは珍しいのでは?
もっとも日本での知名度はいかばかりか…かくいう私も知識はまるでなし。
『移動派』云々という説明を見て、かすかに記憶の片隅にあったかと思う程度。
その認知度を示すように空いた館内で堪能できた。(笑)
レーピンは元々両親が屯田兵としてウクライナに入植。
民族としてはウクライナ人ではないが、精神のよりどころとしていたのか。
当時は(今も?)絵画を学ぶ人はパリに留学と決まっているようで、ご多分に漏れずレーピンもご遊学。
ちょうど印象派が隆盛を極めていた頃だったが、影響は受けたもののより古い時代の画家にスタンスは近かったようだ。その証拠となるようにレンブラントの模写があった。
ネットで検索すると出てくる超有名な絵画はあまりなく、それの下絵・習作がいくつも展示されていた。
脇には完成図の写真もあるのだが、やはり少し寂しいね。
代表作の一つ
『ヴォルガの舟曳き』は下絵と比べると増えている人、変わった人がいて面白い。
<のっぽさん>みたいな人や中央のブロンド(?)は元々存在していない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Ilia_Efimovich_Repin_(1844-1930)_-_Volga_Boatmen_(1870-1873).jpg
彼の絵のモデルは身近な人物が多く、時には友人から(断りなく登場させて?)怒りを買ったこともあるらしい。
モチーフとしてはウクライナの庶民を描くことが多かったようだ。
よくいう<コサックダンス>とか<コサック帽>というのは、このウクライナ周辺の人のことで、剃髪して帽子をかぶっていた。ロシアとポーランドなどの中間に位置し、諍いのときは都合よく振舞っていた自由人で、最終的にはその態度が嫌われてロシアにつぶされたという話も…。(苦笑)
レーピンは肖像画も数多く制作したようだが、あの時代のロシアでは一般的なことなのか他に国でもそうなのか不明だが、肖像画の第一人者が存命の時には<超有名人>は描いていない。
その肖像画家がなくなり初めてトルストイなどを描いている。
ロシアといえば、有名な作家や音楽家も思い浮かぶが<
ムソルグスキー>などの名前を聞くとレーピンの生きた時代がそれとなく分かる。
(個人的な意見ですが、ムソルグスキーってメタリカのドラマー、ラーズ・ウルリッヒに似ている気がする…。w)
しかし、アル中で入院しているというのに目の力が感じられる絵。
ちなみにガウンのあわせが逆だが、ロシアの人ってあまり気にしないそうだ。
チラリと下にのぞく衣服の模様が出身地を物語っている。
逆といえば、
結婚指輪も普通は左手の薬指という概念だけど、ロシアは右の薬指なんだって。
そう知ってみると確かに皆右手にしている。
(他にも右手の国はあり、国だけじゃなく宗教・宗派による違いもあるみたい。)
レーピンは初期と比べ晩年の絵画は幾分ラフなタッチになる。
これは加齢によるものではなく、発想の転換。
「なるべく手早く描き写すことが鮮度を保つことになる。」と考えたようだ。
この辺は賛否あるかもしれないが、いくら時代は変わっても写実的な技術の評価が下がることはないだろう。
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