『
2分の1の魔法』
二人で一人、半人前の兄弟が力を合わせて亡き父に会おうとする冒険譚であり、兄弟の成長物語。
科学の発達で魔法を忘れかけた異世界が舞台。
天性の魔法の才能がある弟が、魔法オタクの兄の知識を借りながら父を甦らそうと試みる。
失くした肉親を思いやるという展開に「またか」と思ったが、エルフや架空の生物が暮らす世界、魔法まで登場するとなると話までが荒唐無稽ではよりどころがない。
その意味で、古今東西の誰もが身近に感じる題材を扱う必然性はあっただろう。
中途半端な魔法で下半身しか再現できなかった父の演技力が見もの。
チャップリンのサイレント映画にも通じる足だけの動きで感情が伝わるほど。
息子たちが父に固執するのと比べて新しい恋人ができた母にとっては、既に心の整理がついているのだろう。
母と違いまだ大人になれない息子たちにとっては喪失から抜け出せないところから一歩踏み出す冒険。
確かに言われているように、エルフの兄弟は『シング・ストリート』を思い出す。
とりわけ兄は能力がないのにウンチクだけは人一倍で、体型もおせっかいなくらいな性格からもオーバーラップしてしまう。
魔法を使えば何でもできる自由さに甘えない伏線回収率の高さからは脚本家の手腕がうかがい知れる。
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