『
37(サーティセブン)セカンズ』
人気漫画家のゴーストライターとして働く脳性麻痺のユマは過保護な母と二人暮らし。
そんな環境から脱したいユマがふとしたキッカケで未知の世界を求めて冒険に出る。
渡米して映画の勉強をしたというHIKARI監督の決意は、このデビュー作からも強く感じられる。
実際にハンデを持つ佳山明に課した試練は冒頭のシーンから如実。
これは観る者へも「覚悟せよ」という狼煙でもあったのではないか。
日本社会ではとかく腫れ物に触るように障がい者を扱ってしまう。
知らず知らずに壁を作ってしまっているのだ。
そんな壁のある社会の中で、もがきながら大人へと成長し、隠されたルーツの秘密を紐解く。
HIKARI監督の強いメッセージ性とエンタメ要素をしっかりと両立させた力量は初長編とは思えない。
タイトルの“37秒間”について語るシーンはベタだが湧き上がる感情は抑えきれなかった。
ともすると重苦しくなりそうな題材だが、ポップさが軽快さを与えている。
物語の上で未知の世界に飛び出すユマと演じる佳山明の挑戦がフィクションの壁を越えてシンクロする。
過保護な母親を演じる神野三鈴の熱演も光る。
佳山明の演技にハンデという下駄をはかせる必要はない。
改めて人を不自由にさせるのは身体的なハンデじゃないことに気づかされる。
本当に今観て欲しい邦画だし、観ないと損をするのではないだろうか。
第69回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門で観客賞と国際アートシアター連盟(CICAE)賞をダブル受賞。
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