『
ゴールデン・リバー』
ゴールド・ラッシュで沸き立つアメリカ西部を舞台にしたサスペンス。
表面的には西部劇だが、いわゆるガンファイトがメインではない。
むしろ欲に目がくらんだ人間の業が話の動力。
『君と歩く世界』や『ディーパンの闘い』のジャック・オディアールがメガホンを取っているのだから米国映画の西部劇とは違うテーストを感じるのも無理からぬこと。
地域一帯を仕切る提督の命令を受けた兄イーライ(ジョン・C・ライリー)と弟チャーリー(ホアキン・フェニックス)の殺し屋<シスターズ・ブラザーズ>が連絡係のモリス(ジェイク・ギレンホール)と化学者ウォーム(リズ・アーメッド)を追う筋書き。
暗闇から始まるのは目先の欲で盲目になっている比喩だろうが、自然光だけの撮影なのか目を凝らさないと誰が何をしているのか判別がつかない。
読み解くカギになるのが、シスターズ家の人間関係。
兄弟の人格形成に影響を与えている過去が詳らかになって行くと話に深みが出てくる。
気が優しくて乗っている駄馬にも愛情を注ぐイーライが飲んだくれて問題ばかり起こすチャーリーの面倒を何かとみる。
そこには血のつながり以上の秘密が隠される。
いわゆる男性的と捉えられる西部劇に“姉妹”という皮肉なネーミングは男女同権を叫ぶ今日性と結びつくようだ。
それがラストへの布石になっているのだろう。
実力俳優が揃っているので芝居だけでも引き込まれる。
特に原作に惚れて権利を買い取ったというジョン・C・ライリー渾身の演技は圧巻!
目先の欲に目がくらみ、大切なものを失ってようやく人は真に価値ある存在に気づくのだろうか。
その点でもジャック・オディアールらしさを感じた。
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