『
ハイ・ライフ』
これも少し前に見ていたもの。
中々に不親切なクレール・ドゥニ監督によるSFスリラー。
かなりの低予算と見えて、どこまでが作為的なのか戸惑ってしまう。
おそらく監督はSFを撮りたかったわけではないと思う。
ある極限状況下での人間の精神的ストレスに興味を見出したのではないか。
トロント国際映画祭で賛否分かれたというのはごもっとも。
死刑囚だけを乗せて何らかの実験をする目的で航行する宇宙船内部の密室劇。
何処にも逃げ場がない中で息苦しい人間関係でぶつかり合うさまが見て取れる。
地上に居たとしても誰しもがいつかは死を迎えるわけで、その意味ではこの宇宙船は地球の小さなひな形なのかもしれない。
性欲も食欲も権力闘争のマウンティングも何ら地球上と変わることのない船内。
その限られた空間で他者との共存ができるのか。
劣悪な条件下でも子孫を残すことができるのか。
生きづらく閉塞感ある現代だからこそ意味のある実験なのだろう。
作りとしてはチープだが、クラシックなSF映画を思わせる宇宙船も普遍性を匂わす。
新バットマン役に決まったというロバート・パティンソン、名優ジュリエット・ビノシュらの熱演が光る。
特にジュリエット・ビノシュのねっとりとした濃厚な自慰シーンは映画の白眉ではないか。
(少なくとも格の違いは見せつけられた。)
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