『
幸福なラザロ』
一体この話はどこに向かうのだろう?
そもそも時代がさっぱりつかめなかった。
現実に起きた事件を基にしているというが、初耳だった。
小作人制度が廃止されてもなお小作人を奴隷のように使っていた事件が80年代にあったらしい。
『夏をゆく人々』などのアリーチェ・ロルヴァケルが脚本と監督を兼ねる。
きっとこの作品がロルヴァケル監督にとって一つのマイル・ストーンになるのではないか。
それぐらい見応えを感じさせた。
タイトルにもなっているラザロとは聖書にも登場する聖人の名前。
それになぞらえて信仰と現実問題とを織り交ぜて描かれた寓話。
前半のシリアスな展開と打って変わった後半の展開には明らかに寓意性を感じる。
搾取されていた小作人に自由が与えられたからと言って人は幸福になるとは限らない。
自由の身は搾取から自由になれることではない。
時代や環境が変わっても庶民は常に搾取される立場から変わることのない辛さがにじむ。
また貧しきものや迷えるものを救済するはずの教会の形骸化にも釘をさす。
『幸福な…』と題名についているが、きっと『幸福な王子』のそれと同類なんだろう。
家畜や音楽の比喩も寓話にはよく似合う。
ラザロ役には監督が見つけてきたというポッテリした体型に純朴そうな目つきの青年アドリアーノ・タルディオーロが扮する。彼の欲のない顔つきがとても役柄にあっている。
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