『ROMA/ローマ』
https://www.netflix.com/jp/title/80240715
『ゼロ・グラビティ』などで知られるアルフォンソ・キュアロンが自伝的内容を扱ったとてもパーソナルな作品。
一般公開されずに、Netflixのみで配信されるそうだが、今年の東京国際映画祭ではスクリーンで上映があるというので、チケット争奪戦の末に席を確保して観てきた。
メキシコの中流階級で働く家政婦の話。
キュアロン自身がこうした家政婦に世話をしてもらったことへの感謝も込められているという。
‘70年ごろのメキシコが舞台なのになぜ『ローマ』という題なのかと思ったが、メキシコにローマという地区があるのだそうだ。
そこに暮らす恵まれた家庭が舞台。
今回はキュアロン組のルベツキをカメラマンで雇うことなく、自身で努めていることからもより身近な題材と言えよう。(脚本も編集もキュアロンが手掛ける)
モノクロ、派手な音楽もなく、撮影も古典的な固定長回しを活用。
ハリウッドでの『トゥモロー・ワールド』『ゼロ・グラビティ』のイメージで見ると全く違う印象を受けるだろう。
世界的な有名俳優が出ていないこともあり、セミドキュメンタリーのようでもある。
ローマが地区の名前というのは先に述べた通りだが、それだけではなく人間関係などにも表れているのだろうか。さながら家庭内は小さな帝国だったのかもしれない。
一家の父が運転する愛車ギャラクシーにつけられたエンブレムの王冠は文字通り一家の大黒柱である家長の象徴でもあろう。
家庭関係に亀裂が入ったあとで車への扱いを見ると腑に落ちる点もある。
社会情勢や個人的な不安に襲われながらもたくましく生きる庶民の姿は洋の東西を問わず。
単に一人の家政婦の一年を追っただけにも見えるが、現在にも通じる男女差別やマイノリティ問題を感じられる側面も隠されているように思える。
冒頭のシーンとリンクする最後の場面では縦方向の演出を巧みに使っていてとても印象に残る名シーンの一つ。
パロディにも見える映画ネタには思わず笑みがこぼれる。
余談だが、ネットで見つけた面白い説で原題の「ROMA」をひっくり返すと「AMOR」となり、これはスペイン語では「愛」を意味するそうだ。
偶然でも興味深い説。(笑)
12月よりNetflixで全世界同時配信予定…だったのだが、米アカデミーでは劇場公開しないのはTV映画としてノミニーさせないという流れもあり、期間限定でスクリーンにかけるという噂も出ていた。さて、日本では?
ログインしてコメントを確認・投稿する