『
検察側の罪人』
天地が鏡面に映るスタイリッシュな映像から始まる。
この世界では上も下もない、いつひっくり返ってもおかしくないことの暗喩なのか。
出来うるならば、この魅力的なロングショットから主人公のいる部屋にズームインして(クローズアップまで)見せて欲しかったが…。
原田監督は日本にあって骨太な演出が光る一人だと思うし個性ある作家ではあると思うが、本作の脚本はいささか疑問点が目に付く。
しかし、それでも身を乗り出してみたくなる力量は確かに感じる。
原田監督は何を題材にしても<自分が語りたい話>を語っている印象がある。
まさに本作の本質もそこにあるのではないか。
過去の<曰く>もそれぞれが抱える<正義>も自分サイドの都合に他ならない。
法律と正義はイコールなのかの問いかけ。
自分の正義を貫く最上毅(木村拓哉)の姿には監督のそれが重なる。
さりげない食事シーンだが、最上が手皿をする箇所が目に付いた。
一般的にはマナーが悪いと言われる手皿だが、これは偶然ではあるまい。
それほど食事をする必然性を感じないのにわざわざ挿入されたことからも、この人物の“その後の行動の予兆”とも取れる。
主演二人はこれまでも数多くの作品に出演しているが、明らかに木村拓哉の演技は彼にとって一つのマイルストーンではないか。
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