『
君の名前で僕を呼んで』
青年がひと夏の初体験で成長する定番の物語。
一つ違うのは、同性同士の恋物語という点だ。
だからと言ってこの映画が同性愛に限定された話というわけではあるまい。
むしろそこには先入観やしがらみに縛られない“自分らしく生きる”という自由を謳っているから。
17歳のエリオはピアノが自在に操れるほど得意。
言葉で感情表現するのが苦手なエリオにとってピアノは自分自身。
これ以後、流れるピアノのメロディーはエリオの気持ちを代弁する。
なんともにくい演出で奏でられる調べとともに見事なもの。
イタリアの避暑地という舞台も良い。
美しい景観と日差しがひと夏の儚い幻想を引き立たせる。
文化的でかつ退廃的な雰囲気はヴィスコンティらの伝統を匂わせる。
主役エリオを演じたティモシー・シャラメが魅力的でオスカーノミネートも納得の逸材。
一方で相手オリヴァー役となるアーミー・ハマーは“いかにもアメリカ人”を体現しているが、どこかしっくりこない。
淡々と流れていきそうなお話にパンチをくらわすのはエリオの父。
出番は多くないが<人生の先輩>を感じさせる台詞には思わず涙する。
全てはこの瞬間のためにあったのかと思うほど。
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