『
立ち去った女』
第73回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。
鑑賞動機はほぼこれのみ。(汗)
かつて小学校の教師だったホラシアは冤罪で30年間逮捕監禁されていたが、別に真犯人がいるという新証言により釈放される。
自宅に帰ったホラシアだが、失われた月日とバラバラになった家族は戻ってこない。
人生を失った彼女は罪を着せた黒幕を復讐のために探し始める。
フィリピンが生んだ怪物ともいわれる鬼才ラヴ・ディアス監督。
これまでも映画祭などでの上映はあるものの、一般上映ではめったに作品を拝めない。
それというのもひとえに長尺だからということもあろう。
本作の3時間48分はディアス監督にしては<短編>と言えるほど。(苦笑)
(長さの割には複雑な話ではないので、その点はハードルが下がる。実際、この長さほどの長さは感じない。)
舞台設定が香港返還の1997年というのは監督自身がニューヨークから故郷のフィリピンに戻ったタイミングを反映しているようだ。
故郷に帰った感慨を投影したものらしい。
当時のフィリピンでは誘拐犯罪が急増したことも関係していると聞く。
BGMを排除して、モノクロームと長回しという“アート”フィルムだが、現実の事件を想起させる点で理解しやすいのではないか。
(固定カメラによる長回しの多用はタルコフスキーを感じさせるが、やはりディアス監督のフェイバリットらしい。)
夜中でも商売に精を出すバロット売りや日本に行ったことがあるというドラァグクイーンなどのユニークなわき役たちの存在が際立つ。
彼らも皆フィリピン社会の弱者でありながら国のアイデンティティにもなっているのであろう。
特に多弁なバロット売りは寡黙なヒロインと比べ、狂言回し的な意味合いもあるのではないか。
ラストシーンが秀逸。
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