『
三度目の殺人』
ベネチアでは無冠に終わった是枝監督の意欲作。
受賞効果を狙ってのベネチア映画祭と同時期公開だったのだろうが、思惑が外れる結果になった。
もっともこれまでの是枝作品の出来栄えの良さゆえのハードルの高さもあるだろう。
重厚な法廷サスペンス。
タイトルにある『三度目』が何を指すのかが見どころではあるが、想像をめぐらすと砂が口に残るような後味…。
ミステリー劇なので言及しにくい点もあるが、被告人と弁護士が接見室で面会するとき境界となるアクリルガラスの演出効果が巧み。
二転三転する三隅の発言と、被害者の娘・咲江との関係などが詳らかになる度に違った景色が見えてくる。
弁護士の職務を逆手に取った発想が巧妙な脚本術に思えた。
弁護士の重盛(福山雅治)目線で語られ、被告人の三隅(役所広司)の内心(事件の真相)は見えないところが想像力を掻き立てる。この辺が羅生門シチュエーションと言われている点か?
福山と役所のふたりがドアップで対峙するシーンが印象に残る。
それくらい顔と顔の映画だが、軍配は役所の方が一枚も二枚も上手。
どれほど見つめても何も掴めそうにない役所の芝居の上手さには今更ながら脱帽。
自分を<空っぽの器>と称する三隅。それならばその器に入っていたのは何なのか…いや、誰なのかを考えると腑に落ちる点も多々ある。
日本の司法の限界、死刑制度の是非などかなり踏み込んだ内容で、正義とは何か、裁くとはいかなることかを考えさせられる。
ただ、少し硬い印象を受ける。
余りにも三隅の手のひらで弄ばされ過ぎ、つまりは監督の意のままに進みすぎているのがそう思わせているのかも。
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