『
散歩する侵略者』
前川知大が主宰する劇団「イキウメ」の舞台公演を黒沢清監督が撮る。
ここまでSF色を前面に出したのは初めてではないだろうか。
表向きはSFだがラブロマンスやミステリー、アクション、社会派など様々含む意欲作に思える。
宇宙人が地球侵略…というと古典的な映画が様々想起されるが、黒沢監督の手にかかるとどれとも違う黒沢ワールドに仕上がっている。
身近な人物の体を“侵略”した宇宙人は地球人の理解のために“概念”の学習を始める。
まずは相手を知ることが大切と考えるのだろう。
この“概念”泥棒の行為がユニーク。
いきなりの猟奇的シーンに度肝を抜かれるが、通過点とばかりに一か所に留まらない。
危機迫る状況にもかかわらず、実にユーモラスなのも巧みだ。
異星人が人間の体になれてないためか、シュールに映るところも効果的。
概念を奪われた地球人と奪った宇宙人のその後の変化には目を見張る。
未知の敵からの攻撃にたいして恐怖をあおり右傾化する社会は現代とリンクするようだ。
フードコートで飾られた万国旗は特に意味深に思えた。(加えて言うなら手前に見える“あの国”の旗は意図的配置だろう。)
しかし、社会問題が起きた時に皆は自分の頭で考えて解決しているのだろうか。
素朴な疑問と最高の解決策を提示しているように思える。
そしてそれは兵器の強化ではないはず。
長澤まさみや恒松祐里のアクティブさにも目が釘付け。
『クリーピー 偽りの隣人』の西島秀俊にも感じたが、本作の長谷川博己の役柄も若き頃の役所広司なら…という印象を受ける。
侵略SFという題材も古典王道だが、最終結論もまた王道だ。
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