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2017年08月08日02:35

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『ローサは密告された』

『ローサは密告された』

 フィリピンからドゥテルテ大統領の剛腕ぶりが伝えられる。
「いくらなんでも強権発動では」と訝しむ向きもあろうが、本作を見るとまだ生ぬるくも感じてしまう。(苦笑)

 小さな家族経営の雑貨店で麻薬を気軽に扱うくらいに常態化されているマニラのスラム街。
そしてそれと同じくらい…それ以上に腐敗している警察。
かの地の悪徳警官の存在は耳にするものの、これがフィクションでないなら市民はどこに正義を求めればいいのか。

 何者かの密告で麻薬密売がばれて逮捕される雑貨店を営むローサと夫。
保釈の条件に多額の金を要求される。
家族一丸となって集金に奔走。時には限りなく黒に近いグレーの行為までも厭わない様子は涙なくして見られない。
罪を犯したローサらが逮捕されることに異論はないものの、麻薬密売が正当化されるくらいの世界に住んでいるのだというマニラの現実に突き落とされる。
(何気に映し出されるコンビニにたむろする子供たちの姿にも唖然…)

 『キナタイ マニラ・アンダーグラウンド』のブリランテ・メンドーサがメガホンを取り、主演女優ジャクリン・ホセにカンヌ国際映画祭で女優賞をもたらした(おそらく最後のカットが受賞の決め手だったろう)本作はまるでドキュメンタリー。
ハンディカメラによる手ブレも臨場感あるし、日本では知られていない俳優の出演も本当の映像っぽさに一役買っている。

 フィリピンの暗部をえぐり取っている描写に開始早々から傑作の匂いがしたのだが、あと一つ突き抜けない隔靴掻痒も…。
社会派として問題提起をするなら、別の結末もあったのではないか。
特に小道具の使い方に疑問を覚えた。
警察署に連行された父が着替えた衣服や終盤に母が手にする小道具は別の意図があるとばかり想像していた。
それでも肝っ玉母さんのたくましさに希望を捨てていない監督の祖国愛もチラリと垣間見えるようだ。

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