『
歓びのトスカーナ』
日本で精神病患者を扱った作品を作るとなると、相当難しいのではないか。
まず茶化すような描き方はあちこちから横やりが入って、(おそらくは)スタート地点に立つことすら容易に出来まい。
『人間の値打ち』のパオロ・ヴィルズィ監督は正反対と言ってもいいような二人の精神病患者(双極性障害のベアトリーチェと境界性パーソナリティ障害のドナテッラ)を通して人間賛歌を謳う。
全ての人が自由平等に生きる権利があるというのは当然としても、どこかでそれは嘘っぱちだと内心思ってはいないか。
いつもテンションが高くわめき立てる肉感的なベアトリーチェと暗く無口で孤独なドナテッラ。
日本とは違う施設の在り方など初めて知ることも多い。
なんともいえない大らかさがイタリア的かもしれない。
そんな奇妙な状況の中で二人の冒険が始まる。
まずはこの主演女優の二人があってこその映画。
特にわめきたて振り回すベアトリーチェを演じたヴァレリア・ブルーニ・テデスキの尽きることないエネルギーにやられる。
前半はベアトリーチェに共感しづらかったし、それが狙いなのかもしれないが、一方的だった二人の距離感が縮まる後半は思わず身を乗り出す。
イタリア版『テルマ&ルイーズ』ともいわれる所以は納得。
監督曰くコメディなのだそうだが、とても笑えるような映画ではない。(苦笑)
(英題がLike Crazyで、なんとも訳しにくいがCrazy にCrazyを演出している面白味がある。)
しかし、観る者に笑顔を与えてくれる作品ではあるかも。
邦題の通り美しいトスカーナ地方の風景も目に鮮やか。
ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で作品賞や監督賞、主演女優賞などの5冠に輝く。
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