『
汚れたミルク / あるセールスマンの告発』
やるせない話。
巨大グローバル企業の闇を告発するパキスタンであった実話ベースの再現ドラマで、『ノー・マンズ・ランド』のダニス・タノヴィッチの社会派映画。
貧しい出自で高学歴でもないが、真面目に働き営業の腕前はピカ一の男アヤン。
国内の製薬会社に勤め、同じ働きをするが安い薬で営業をかけるが、世間のブランド志向の前に脆くも崩れ去る姿は日本も他人事とは思えない。
努力の甲斐あり、世界的大企業に就職する。
(誰もが知っている“あの企業名”が映し出されるあたりは中々スリリングだ。)
家族のためを思い、多少ズルい手法を使ってでも相手の懐に入り込むしたたかさは大したもの。ここまでの立身出世物語があるから一転する後半の深みが出る。
モデルとなった事件は90年代のことで、販売している粉ミルクに欠陥が見つかって事件に発展するのだが、原因の一つとして水の質が問題になる。
映画では必要ないと判断したのかもしれないが、この因果関係の追及が今一つ説得力に欠ける気もした…。
(きれいな水なら問題ないのか、また他のメーカーとの違いを掘り下げて欲しい気がした。)
家族を思う心のピュアさが(ズルをしていても)主人公に共感を呼ぶ。
真の意味で家族を守るということは、必ずしも物質面ではないという場面ではグッとくるものがあった。
自然光や手持ちカメラによる臨場感が作品の質とよくあっている。
演出は毒をもって毒を制するという狙いもあったのだろうが、闇を描き出すのに闇をもってというのが後味を一層苦くしていた。
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