『
マダム・フローレンス! 夢見るふたり』
『偉大なるマルグリット』はフィクションとはいえ、同じ題材を基にしたフランス映画が上映されて間もないため新鮮味という点では損しているかと思ったが、夫婦とピアニストとの見事なアンサンブル劇に仕立て上げてきた。
(そうでなければゴールデン・グローブ賞にノミネートはされまい。)
自身の音痴を知らずに大々的にリサイタルを開きたいマダム・フローレンス。
妻を気付付けずに希望もかなえてあげたいと夫は様々な裏工作に走る。
相変わらずどんな役でも自分の物にするメリル・ストリープの上手さには舌を巻くが、意外といっては失礼だがコズメ・マクムーンを演じたサイモン・ヘルバーグ(「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則」)の名ピアニストぶりが何より新鮮。
コメディセンスが高いのは知っていたが、ピアノ演奏もこれほどの腕前だったとは。
もともとメリルは映画でもその歌声を披露しているほど歌が達者な俳優だが、本作での音痴っぷりは中々のもの。わざとらしく下手くそに歌うのではなく、基本テクニックを背景に感じさせながらの音程を外すのは、それこそテクニックが必要だったのでは?
夫人にとって無理してでも歌いたいという動機はわかるし、ピアニストが仕事を請け負うのも理解はできるが、
夫がどうしてここまで献身的に妻を支え続けるのかという点は今一つはっきりしない。
ただ一つ感じたのは、
無謀であっても夢を追う姿を挑戦すらしない連中が無責任に笑っている姿にドキリとしたこと。軽い笑いに包んだ重い問いかけを感じた瞬間。
調度品や豪華な衣装も見応えたっぷり。
監督はスティーヴン・フリアーズ(『クィーン』)だけあり女性を輝かせる手腕は確かに思える。
正直言って、ポスターデザインといい副題といい、日本向けのローカライズは疑問。
日本ではコメディよりもロマンスで売った方がいいという判断があるのかもしれないが、個人的には非常に残念。(絵の構図もバランスが悪い。せめて中央に寄せて欲しい。)
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