『
灼熱』
クロアチアを舞台に3つの時代を同じ2人のカップルで描かれる愛の物語。
それぞれ別人設定でつながりはない、ではなぜ同じ人物に別の物語を演じさせたのかと問われたら、それはクロアチア人とセルビア人を代表しているということだろう。
物語の背景となるクロアチア紛争の知識が多少なりともあるに越したことはない。
クロアチア紛争の前夜、直後、そして現在からなるが、ロミオとジュリエットのような敵対関係がスリリングである。小道具やアイテムが話の概要にも生かされている点は脚本の工夫を感じる。ボロボロになった我が家を修復するという行為はそのまま国の復興を思わせる。
戦争で互いの家族や友人・隣人らを殺し合った中で、「戦争は終わったので、これからは仲良くしましょう」なんて軽々しく言えないとは思うが、未来に絶望はしたくない。
道のりは険しくもささやかな希望が感じられる秀作。
やはり三役をこなすティハナ・ラゾヴィッチ、ゴーラン・マルコヴィッチの主演二人に目が行く。
本作が本格的なデビューというゴーランも迫真の演技を見せるが、ティハナは本作で数々の女優賞を受賞したというのが頷ける存在感。
どこか『ブルーバレンタイン』を思わせた。
紛争で廃墟となった家屋なども説得力がある。
時折カーラジオから流れる「アメリカ〜」と歌っている曲名は分からないが、理解の一助のためには字幕はあった方が良かったのでは?
人種や国家という境界線が庶民を不幸にしている現実に人は知恵を出さなければならないと思わされる。
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