『名誉市民』@
LBFF
http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=125
つい先ごろノーベル文学賞の発表があり、ボブ・ディラン受賞に世界中が沸いたが、これはアルゼンチン出身で初めてノーベル文学賞を受賞した(という設定の)男の話。
貧しい地方の町で育ち、今はスペインで暮らすダニエル・マントバーニがノーベル文学賞を受賞したというので、故郷では『名誉市民』を授与するという。
それを機に決別したはずの故郷をたずねるダニエル。
映画はそうした騒動をシニカルなユーモアを交えて描く。
(実際に笑ったシーンは何箇所もある。)
どこの国でも貧しい地方の閉鎖的な空気は同じ。
地元に帰って元カノなど懐かしい面々との再会の楽しさも最初だけで、次第に嫌な側面がにじみ出てくる。(苦笑)
作家の故郷に対する態度も名誉市民として迎える町民も互いに<利用しよう>という腹のうちだけは一緒。
打算と欲望が蠢く人間の負の部分がよく出ている。
これで終わればありがちなストーリーだが、最大の見所は、この<事件>とも呼べる出来事がどういう風に変えてゆくのかにあったのではないか?
世知辛い世の中を生き抜くにはこれくらいしたたかさが必要なのだろう。
文学を扱うだけあり、随所に象徴的な描写や持って回った表現が見られる。
皮肉屋で天狗のダニエルを演じたオスカル・マルティネスがヴェネチア映画祭で最優秀主演男優賞を受賞したのも頷ける存在感を見せつける。
最後の方はコーエン兄弟の映画かと思うほど、日常のサスペンスがきいていた。
東京国際映画祭と共催作品。
…東京国際映画祭は今日もすったもんだがあったけど、ちゃんと開催できるのかなぁ?(笑)
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