『
淵に立つ』
平凡だった家庭に訪れる<闖入者>、しかし時として闖入者は化学反応をもたらす、良くも悪くも…。
ワケアリ男の秘密が核にはなるのだが、表面的に崩壊していなかったかもしれないが、この家庭はすでに亀裂が入っていた。
誰しも気が付きながらも見ようとしてこなかっただけ。
夫婦とはいっても形式的な連絡しかしない間柄、従順に見えて親に嘘をついている娘。
対面を取り繕いながら本音を隠して生きる日本人には身につまされる点があるのではないか。
二部構成からなる家庭ドラマで、ある時点の前後でまるで違う見え方をする。
真実の部分はあえて欠落したままで、見る者の想像力を掻き立てる作りは挑戦的だ。
おそらく説明的な日本ドラマ(やその延長の映画版)でしか判断できない人にはもどかしいかもしれない。
深田晃司監督の作品をキチンと見たのは初めてだが、なるほど熱心なファンがいるのは頷ける。そして海外で映画賞を受賞するのも然り。(カンヌの「ある視点」部門審査員賞受賞)
不気味な闖入者を演じる浅野忠信の特有な妖気が支配する。
出てきただけでもう「絶対何かが起きる」と伝わる凄み。
平凡な家庭の夫婦を演じた古舘寛治と筒井真理子の好演が光る。
とりわけ母親の二面性を演じ分けた筒井真理子にとっては代表作になるのではないか。
音と色にアクセントをつけた狙いもそれとなくわかる。
特に赤い色は警告であり、危険が近づく予兆ともなっている。
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