『
手紙は憶えている』
『スウィート ヒアアフター』のアトム・エゴヤンが贈るミステリー。
脚本家にはこれがデビューとなる新鋭のベンジャミン・オーガスト。
語りつくされたホロコーストを題材に人間の内面に迫る物語。
アウシュビッツを体験しながら90歳まで生きながらえたゼヴは極度の認知症にかかっている。最愛の妻なき今、彼に残されたのは車椅子で体の自由がきかない友人マックスに託されたナチへの復讐の手紙のみ。
70年前にナチに殺された家族の復讐のために、本名を隠して生きているらしい“ルディ・コランダー”を探す旅に出る。
同姓同名の4人の候補から本物を探す旅。
ミステリーというジャンルもあるので、この先は伏せておくが、中々センスの良いミステリーだと思う。決してこのパターンが珍しいというわけではないが、単純な復讐劇にしていない点が味わいある。
劇中でクリストファ・プラマーが演じるゼヴとは<オオカミ>を意味する言葉らしい。
ともかくクリストファ・プラマーはじめ、マーティン・ランド―やブルーノ・ガンツといった登場する爺さん俳優たちの見事さよ。
演技とは思えないくらいのリアルさを感じさせる。
ゼヴがシェパードを怖がるあたりの演出も冴えている。
(ナチスの犬といえばシェパードが真っ先に思い浮かぶであろう。)
事前に『水晶の夜』の用語を知っていると理解が早いかもしれない。
しかし、戦後70年も経過しているのに、探し出してまで復讐なんてナンセンスに思うかもしれないが、それが人間なんだろう。
加害者は忘れても被害者は永遠に忘れることはない。
戦争が落とす影の重さが伸し掛かる。
10月28日より公開
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