『
エル・クラン』
驚きの実話物。
アルゼンチンでは知らぬ者もいないというほど有名な事件の映画化。
犯罪一家なんていうと『アニマル・キングダム』か『あばしり一家』を思い出す。(笑)
時代は1980年代の民政移管のころ。
独裁体制から民主主義へ移行というこの時代のアルゼンチン事情に理解がないとピンと来ないかもしれない。
傍から見れば裕福で理想的な家族に見えたプッチオ家。
前の時代で、父は情報管理局員として生計を立てていたが、国家体制の変化で失職してしまう。
そこで選んだ新しいビジネスがぶっ飛んでいる。
誘拐して身代金で生計を立てるというもの。
しかも監禁場所は自宅という嘘のような話。
家族が一枚岩ではないために綻びが出始めるのだが、お父さん役の俳優の目が怖い。
心ここにあらずという非人間的な目つき。
(まるでニワトリや魚のような感情のない目つき)
彼に罪の意識がないのが怖い。
しかし、この父親はモンスターなのだろうか?
ある意味、同情すべき側面もあったのかもしれない。
ついこの前までは白だったことが黒だと言われても納得しがたいのではないか。
しかも柔軟性のある子供ではなく、凝り固まったいい年をした大人である。
急激な世の中の変化に対応できなかった男の悲劇と言ったらいいのか。
一家の行く末も驚嘆であるが、父のその後もまた驚きを隠せない。
開いた口が塞がらないが、是非とも嘘のような本当の事件を見届けて欲しい。
CCRやキンクスといった音楽も効果的に響く。
試写会で拝見したが、ゲストに翻訳家の金原瑞人さんと放送作家の町山広美さんが登壇。
町山さんの母親の怖い話で盛り上がっていた。(笑)
(映画の中の父親のような目つきだったことがある…と)
試写会@アキバシアター
ヴェネチア映画祭、銀獅子(監督賞)賞受賞
9月17日より公開
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