『
Effie Gray』
ヴィクトリア朝の傑作のひとつであるミレイ作<オフィーリア>。
題名だけで知らなくとも見たら「ああ、これか」とわかるはず。
では絵の作者であるジョン・エヴァレット・ミレイはどれくらい知られているだろうか。
また彼の名は知っていても、ミレイをはじめとするラファエル前派の支持者であったジョン・ラスキンについてはどうだろう。
これは思想家であり美術批評家であったジョン・ラスキンの妻エフィー・グレイ(ユーフィミア)の半生を描いた映画。
脚本はエフィーが信頼するイーストレイク夫人役で出演も兼ねる
エマ・トンプソンが務め、監督はTV映画出身のリチャード・ラクストン。
ヴィクトリア朝を舞台にしたロマンス映画と見ることもできようか。
一応はラスキン夫妻とミレイの史実を基にしているようだが、フィクションもまじる。
若くしてジョンの妻となったエフィーだが、過保護な両親の元で育った夫の家庭ゆえか疎外感を味わって生きていたようで、満たされない結婚生活が延々と綴られる。
今の時代と違っておいそれと離婚も出来ない不幸が一層彼女を苦しめる。
そんな中で救いになるのが、夫の肖像画の依頼を受けたジョン・エヴァレット・ミレイに他ならない。
ともすると妻に冷たい夫ジョンに反感を覚えるかもしれないが、見ようによっては芸術の才があっても人の愛し方を知らずに育ったジョンこそが気の毒と見ることもできるかもしれない。
英国、スコットランド、ベネチアといったロケ地が効果的。
時代の雰囲気をよく表すとともにロマンチックさも兼ね備える。
ゴンドラや窓にかかる雨粒といった演出も生かされる。
『Emma エマ』などでアカデミー衣裳デザイン賞にノミネートされたこともあるルース・マイヤーズの手掛けた衣装は見ごたえ満点。
主演のダコタ・ファニングもヴィクトリア朝に染まっている。
男優に有名なキャストがいなくて、資金集めは苦労したようだが、ヴィスコンティ映画のミューズとしてもしられたクラウディア・カルディナ―レ(!)の存在も花を添える。
映画の出来は“普通”だと思うが、歴史ものやロマンスものが好きな人なら一見の価値はあるか。
公開未定だが、米国盤DVDに日本語付き。
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