『
緑はよみがえる』
巨匠エルマンノ・オルミが父の従軍体験をもとに作られたという。
戦争の記憶を風化させまいというメッセージは伝わる。
もともと『ポー川のひかり』で長編は引退するような発言もしていたが、その後『楽園からの旅人』やこれを製作。
それだけに伝えたい想いは上映時間の長さよりも重くのしかかる。
第一次大戦、アルプスの前線での一日を通して戦争の不条理さや非業さが語られる。
ほぼ色のないモノトーンの美しい映像。
大半を薄暗く狭い塹壕のみで演じられる。
先の『ポー川のひかり』然り、オルミ監督作にはキリスト教が反映されることも多い。
救いのない戦闘や作戦を強いられる兵士たちを前にして神の不在を強く感じている監督がいるように思う。
自然の美しさと人間の醜さが対比的に描かれるのも特徴か。
月夜に照らされた雪原の美しさ、小動物の神々しいまでの生命力に比べ、不条理な殺戮と絶望からの回避に特に醜悪さを思わせる人間。
薄暗い中、誰が誰か分かりにくいのも意図的なのだろうか?
おかげでドラマ性は後退して、概念のみが残る。
戦争がいかに人の心を殺していくのかを詩的な演出で見せたかったのか。
ただ、ある兵士が切々と想いを訴える箇所は少々面食らう。
絶望が支配する中で唯一といっていい救いを<何に>求めているかが芸術家らしい答えだと感じた。
オルミ映画に派手なドンパチは期待しないが、もう少しドラマチックな見せ方が欲しかったのも正直な所。
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