『Guernica』(ゲルニカ)
タイトルでもわかるようにピカソの代表作「ゲルニカ」の着想の元となった無差別爆撃の悲劇を描いた映画。
鑑賞にあたってファシズムの台頭してきた当時のスペイン内戦に多少の知識は要するかも。
ドイツ・イタリア・ソ連など各国の相関関係を知らないと、置いていかれるかもしれない。
もっとも制作国のスペインでは誰もが知る常識なのだろうから、くどくは説明の意味は持たないのだろう。
第二次世界大戦への前哨戦ともいえる内戦を縦軸に、米国人ジャーナリストと地元の役人との淡いロマンスが横軸として紡ぎ出される。
極めてオーソドックスではあるが、爆撃シーンも(欧州映画としては)頑張っていて見ごたえある。
軍によるクーデターで国を制圧しようとしていた時代だけあり、プロパガンダばかりで自由報道など望むべくない状況にあった。
小さな村ゲルニカでジャーナリストとして満足いく仕事ができずにうんざりするアメリカ人ジャーナリストのヘンリー(ジェームズ・ダーシー)はかつて名著で存在を知られていた。
一度腐ったジャーナリスト魂を再燃できるのか。
自由報道のために働く記者ヘンリーと、軍政統治のために働き都合の悪い報道には検閲も辞さないお役所務めのマルタはいわば敵味方同士。
検閲の厳しい世界で「ジャーナリストの正義」が試される。
ロマンスを物語の軸に据えることで共感を持たせたいのだろうが、メロドラマというほどには色濃くない。(この辺は日本映画とは違うと思わせられる。)
日本に落とされた原爆のように戦争の歴史には新兵器や新戦法を試すターニング・ポイントが存在する。
ゲルニカでの絨毯爆撃もその一つだったらしく、
焼夷弾の初の本格実戦だったということを恥ずかしながら初めて知った。
兵隊や兵器、軍事施設などが爆撃目的だった時代は終わり、民間人が狙われる“より凄惨な時代”の幕開けの第一歩として知るべき悲劇。
公開未定、米国盤DVDに日本語付き
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