『ある戦争』
カリコレで先行上映される本年度米アカデミー賞外国語部門にノミネートされた『ある戦争』(原題A War)
国際平和活動の名のもとにデンマーク兵士もアフガニスタンに派兵されていたのは、映画『アルマジロ』でも知られていようが、まさにタリバン圧政下のアフガニスタンに駐留中のデンマーク軍を描く。
妻子を国に残して命がけの任務中、部隊長が発した空爆命令で民間人が亡くなる。
適法か違法か、判断の根拠を問われる軍法会議が開かれる。
<子供>が作品の中核をなしている。
主人公が守るのもかわいい我が子の生活だし、アフガニスタンでタリバンから追われる現地の子どもの面倒を見るのも共感をもってのこと。
自分の命が危険にさらされていて緊迫する現場において常に完璧な判断などできようはずもない。
まして、部隊長ならば部下の命も守らなければならない。
戦争の不毛さや不条理さが突きつけられる。
一体誰を守っているのか、何のために守るのかという根本定義が揺らぐような気持にさせられる。
特にアフガニスタンの子どもと母国での自身の子どもとの対比は胸に迫るものがある。
最前線に出る兵士たちの価値観共有と、戦地を知らないデスク仕事の検事とのギャップも説得力を持つ。
監督は『偽りなき者』『エイプリル・ソルジャーズ ナチス・北欧大侵略』の脚本を手掛けたトビアス・リンホルム。
限界状況下でのヒリヒリするような戦闘が揺れ動くハンディカメラで迫力をもって描写される。
脱線するようだが、“タリバン”とは本来“学生”を指すアラビア語だという。
イスラム神学校の学生が次第にイスラム原理主義の過激な組織になって行ったことからそう呼ばれているらしい。
未来を作り上げる過程にある学生はその国の将来そのものではないのか。
子供を守れない社会に未来はない。
カリコレでは7月30日に先行プレミアが先行上映されて、10月より一般公開。
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