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2016年07月04日02:38

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『ブルックリン』

『ブルックリン』

 職を求めて、あるいは学問のために田舎から都会へ来るのは、どこも同じだろう。
その意味では、就職口が乏しいアイルランドから大都会NYへ…というのは、共感しやすい話だと思う。
個人的には、都会で一人暮らしを始めてもホームシックの類は一切なかったけど…。(苦笑)

 50年代のブルックリンが主な舞台だが、今どき珍しいくらい端正な面持ちをみせる。
仕事のためにNYへ来て慣れないライフスタイルに戸惑いながらも一歩ずつ歩を進めて行く姿は自身と重なる人も多いのでは?

 (2015年作だが)やはり今年は米国大統領選挙の年なので、それと関連性を感じてしまう。
言うまでもなく米国は移民で成り立っている国。
高度経済成長期にインフラ整備に貴重な労働力としてアイルランドからも大勢が押し寄せた。
その後どうなったかは映画にある通り。

 今回の大統領選では移民排斥運動を口にする候補者もいるようだが(笑)、国家の基盤を蔑ろにするのは正しいのか?
エイリシュがルーツを忘れないというのもズバリそこではないのか。
(ところでエイリシュという名前はアイリッシュのもじりなのだろうか?)

 NYと故郷アイルランドの色の違いを見事に表現している色彩設計が巧み。
アイルランドのナショナルカラー・緑が脳裏に焼き付くようだ。
光の演出も分かりやすい。

 「渡る世間に鬼はなし」というが、見ている人は見ている。
寮母キーオ夫人の厳しいながらも人間味ある言動はまさに<もう一人の母親>と言えよう。
まさしく故郷と新天地の対になる関係がエイリシュの心を引き裂くが、自分の生き方は自分で決めるしかない。
「外は寒いけど…」とNYの気候を説明している下りも含みを感じる。

 原作者だけでなく、ジョン・クローリー監督やシアーシャ・ローナン、ドーナル・グリーソンなどアイルランドとゆかりのあるスタッフ・キャストが名を連ねるのも強みになっている。
子役スタートのシアーシャは本当に素晴らしい女優になったと感じる。

 強く共感できたのは、アイルランドの村社会的な点。
そうそう、だから私はホームシックにならなかったんだよ。
もっとも劇中のように美しいところなら違ったかもしれないが…。(苦笑)

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