『
グランドフィナーレ』
“老い”をテーマに”若さ”という比較点からの考察だろうか。
どんな偉人でも避けられないのは老いや死の問題。
若いころはみじんも感じなかったことが年々身に染みる。
映画や音楽、スポーツといったジャンルこそ違えど、かつて栄光を極めた人々が集うスイスの高級リゾートホテル。
「もう若くない」と仕事を引退している音楽家フレッド(マイケル・ケイン)と「まだ現役」と最後の傑作を作り出そうとする映画監督ミック(ハーヴェイ・カイテル)。
フレッドが英国王室の依頼を断り続ける理由やミックの最後になるかもしれない映画製作が暗礁に乗り上げる顛末などは存外珍しいわけではないが、逆にセレブと言っても彼らが特別な存在ではなく人間として何ら変わらないということなんだろう。
フレッドのカウベルを使った演奏会やミックのフィルモグラフィーを総括するようなシュールな光景は印象深い。
実際、映画ファンならばオマージュ元の推理だけでも楽しい時間を過ごせるのではないか。
マイケル爺とハーヴェイ爺のユーモラスな友情も楽しい豪華キャストも作品のウリかと思うが、中でも
出演時間は短いが大女優オーラを放つジェーン・フォンダが圧巻。
誰もが知る往年のサッカープレイヤーは一瞬本人かと思うほどなりきりぶりで驚く。(笑)
夢か現かと、浴槽のゴージャス美女を眺めるときにカメラが水面を上限するのは、まるで
この世とあの世を行ったり来たりしているようである。
大半の芸術家なら「そぎ落とす」ことで作品を完成させるのだろうが、過剰をよしとすることがパオロ・ソレンティーノ監督の署名となっているようにも感じた。
贅沢こそ美なのか。
パオロ・ソレンティーノ監督作品は時に格調高すぎて眠気を誘うこともないとは言い切れないのだが、今回はテーマが身近に感じられたのか(苦笑)、あるいは純粋に作品の敷居が低くなったのか…、ともあれ作品を彩る芸術的美学に圧倒される。
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