『
ハロルドが笑う その日まで』
昔ならスーパーマーケット、今ならAmazonといった大規模店舗が出店してくると、良心的であっても規模の小さな商店街は軒並みつぶされてしまう。
まさにこれはその家具屋版というべきか。
ノルウェーの街、オサネ。IKEAの巨大店舗が隣に建設されて、客を取られて閉店の憂き目にあった家具店の店主ハロルドが起こすトンデモ騒動劇。
店だけでなく最愛の妻にも先立たれ、何もかも失ったハロルドは復讐のためIKEAの創業者を誘拐しようとIKEA1号店があるスウェーデンのエルムフルトまで出かける。
無茶苦茶だけど、精神的に追い込まれると人は何をしでかすか分からない。(笑)
面白いのは、誘拐劇とは言ってもハードなサスペンスタッチにはならないということ。
どこかネジが緩んだほのぼのととぼけた味わいが魅力。
閉店に追い込まれたハロルドの店は高級家具店で、IKEAで扱う家具は逆に大量生産、大量消費の“安物”という違い。
伝統を大切にして環境にも優しくあろうという社会批判としてはありがちな視点だが、観客の共感を呼ぶ説得力はある。
しかし、いくら俳優が演じているとはいえ、
IKEAや創業者(イングヴァル・カンプラード)を実名で使うというのは日本ではなかなか考えにくい。
映画の本籍がノルウェーで、進出してくるIKEAがスウェーデンというのも背景に隣国関係の歴史がにじみ出ているようだ。
爺さん二人の間に割って入る少女エバの存在が話に奥行きを与えていて、全員の共通項目が結びつきを強くする。
一見、何もかも手にして豊かそうな人も、何もかもなくして不幸に見える人も、実は同じなんだという帰結点は頷ける。
<ないモノ>を嘆くよりも<あるモノ>に目を向けて見方を変える努力も大切なのだろう。
ハロルドを演じたビョルン・スンクェストの熱演もイングヴァル・カンプラードを演じたビヨルン・グラナートのすっ呆け具合も味があってよい。
まさに“エルムフルト・シンドローム”とほくそ笑むが、北欧の風景を活かした絵作りも魅力の一つ。
寒いけど温まる悲喜劇。
試写会@伝承ホール
4月16日からYEBISU GARDEN CINEMAなどで公開
さて、またも試写会当選のお知らせ。
6月公開予定の
『帰ってきたヒトラー』ですが、優秀外国映画輸入配給記念上映会ってことで、授賞式などあるため、開始時間が少し早め…。
日時;4月20日(水)、17:30開場、18:00授賞式、18:40から記念上映。(上映時間116分)
会場;イイノホール(霞ヶ関駅近く)
17時10〜20分くらいまでには現地に来られる方で、鑑賞希望の方がいらっしゃいましたらご連絡ください。
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