『
ロブスター』
<45日間でパートナーを見つけられず独身のままだと動物に変えられる。>
不条理な「もしもの世界」をシュールなブラックユーモア(?)で『籠の中の乙女』のヨルゴス・ランティモス監督が描き出す。自身初の英語作品だという。
独身が罪とはまた極端な設定だと苦笑いを浮かべながらの鑑賞。
設定の近未来では独り者は人間とみなされないのだという。
それを回避するには婚活目的のホテル滞在中にパートナーを見つけなければならない。
ウソついて偽装結婚とか考えそうだけど、わずかなウソも許されない。
ウソをつくくらいなら動物になった方がマシという考えらしい。
色々と細かいルールに縛られる設定。そこには自由があるとは思えない。
「リア充爆発しろ」をスローガンに掲げているのかは不明だが、反対活動団体も存在する。
だが、それは逆の掟で身動き取れない矛盾がある。
観る者に恋愛の定義や価値観を問いただしているような実験作。
保守的な世の中への批判なんだろうが、見るものを選ぶのは間違いないだろう。
メタファーに彩られたシュールな世界から、頭をよぎったのは<
カフカ、パゾリーニ、谷崎潤一郎、ハンガーゲーム>といったあたり…。
なぜ『ロブスター』なのかは、主人公が「パートナーを見つけられなかったら変えられる動物(ここだけは自由に選べる!)がロブスターだ」ということから来ているが、実は基となった短編があるというインタビュー記事を読んだ。
その短編のアイディアを知って納得できたのだが、逆に言えば本作に盛り込むべきだったのではないかとも思った。
それならばオチも決まっただろうに…。(あえて曖昧にしたかったのは理解できなくはないが)
コリン・ファレル、レイチェル・ワイズ、レア・セドゥ、ベン・ウィショー、ジョン・C・ライリーと有名俳優が多く出演している。
ヨルゴス・ランティモス監督の才能に魅せられたのだろう事は容易に推察がつくが、ウマすぎて持ち味であるシュールさが甘くなっている気がしなくもない。(苦笑)
アイルランドで撮影されたらしいが、重苦しい雰囲気はよく出ていた。
一般受けしそうにない作風で挑戦する意気込みは高く評価するけど、作品的には『籠の中の乙女』は(邦題はダメだけど)良かったよね…と言いたい。(笑)
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