『
ディバイナー 戦禍に光を求めて』
俳優が監督業に手を出すのは珍しくないが、ラッセル・クロウもいよいよその道に踏み出したか。
よく処女作にはその人物が透けて見えるなどというが、そうなると気になるのは何を選択したかだ。
題材は母国の歴史、多くの犠牲者を出した第一次大戦のトルコ・ガリポリ戦争、その<後遺症>を描く。
クロウがメガホンをとったのは運命が引き寄せたのかもしれない。
これまでにも映画の題材になっているようだが、初めて知る内容だったので興味深く拝見した。
ラッセル・クロウの俳優業の経験が培われたスケールの大きな映画になっているように思えた。
戦争を取り上げるが、戦いそのものよりも戦争で失われた事への哀悼と未来への希望が語られる。
原題にあるように主人公は水脈探しの職人である。
探り当てる<水脈>が戦争で行方知れずになった息子の比喩でもあるのは言うまでもないが、トルコ側の後遺症も等しく描いているのは、国際派スターのスタンスだろうか。
辛い過去を受け入れがたいのは誰しも同じこと。
かたや息子、かたや夫と、共に愛する家族を戦地に送りだして戦った敵同士だが、
真に戦うべき敵は「戦争」そのものだろう。その視点に立ってこそ初めて未来が描けるのではないか。
少しのミステリーっぽさとアクションのサービス精神もラッセル・クロウらしいのかもしれない。
冒頭とラストの接点などは、脚本家の力もあるだろうが、初監督作とは思えないほど中々の物。
劇は豪州とトルコが舞台であるが、ロケの比重は豪州が高かったようだ。
豪州の荒れ狂う砂嵐やトルコの寺院など映像的な見どころも多い。
『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』三部作などの撮影を務めた名カメラマン、
アンドリュー・レスニーの遺作でもあり、撮影は大スクリーン向き。
トルコのイスタンブールで宿屋を営むアイシェ役オルガ・キュリレンコも好印象を残す。
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