『
マギー』
ゾンビ映画はTVシリーズ『ウォーキング・デッド』あたりから、少し幅が広くなったというか、新機軸を持たせる作品も増えてきたように思う。
A・シュワルツェネッガーがプロデューサーと主演を務める本作でもそれを顕著に感じる。
ホラー映画のような第一印象を持つが、実際は<難病もの>に近い気がする。
最愛の娘マギーが不治の病にかかった時に、親としての覚悟と絆を試される。
無敵のヒーロー役はお手の物でも、こういうシリアスな役柄のシュワルツェネッガーは珍しい。
病魔に侵されてゆく娘に対してなす術がない弱い父親ウェイドを演じるのだ。
<まるでゾンビのような>謎の感染病が蔓延して、政府は隔離政策をとっている。
数年前に実母が他界したマギーのケースは軽度という判断で自宅で経過観察となる。
しかし、予測は悪い方に外れていく。
ウェイドとキャロラインは共に子連れの再婚カップル。マギーの病気さえなければ取り立てて問題のない家庭だったが、血のつながらない母親は実の子どもが心配で距離を置くようになる。
また、ウェイドにも近隣の感染症の子を持つ親の行動は鏡に映る姿のように見えていたのではないか。
治療の道がない重篤な感染病には、家族関係や地域のコミュニティーも次第に壊れてゆく。
自分の生命の危険の前にはきれいごとは通用しない。
ある意味、近年目立つ<尊厳死問題>が根底に流れている気がした。
例えば、昏睡状態で寝たきりでチューブでつながれていても生きていることを最優先するべきなのか、それとも生命維持装置を外すべきか…人間としての尊厳はどこにあるのかを問い詰められているようだ。
なんとも鬱映画で、やるせない気分にさせられるが、スタッフが一流どころなので、映像を眺めるだけでも一定の満足感は得られる。
基本的にブルーを基調とした寒々とした色彩で撮られるが、一瞬息をのむような鮮やかさが表れるシーンが明快。
ヘンリー・ホブソン監督はこれが長編デビューというが、『ウォーキング・デッド』のメインタイトルのグラフィック・デザインに携わっていたりというので納得の人選なのかも。
タイトルにもなっている
マギーをアビゲイル・ブレスリンが繊細に演じる。
2月6日より公開
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