『
ひつじ村の兄弟』
アイスランドの小さな村の牧歌的風景で繰り広げられる羊飼いたちのほのぼのした話かと思っていたら、相当シビアな問題を描いていた。(苦笑)
どの国でも同様だろうが、小さなコミュニティには良い面と悪い面が存在する。
隣同士で助け合える良好な関係を築ければいいが、一度こじれると逃げ道がないだけにタチが悪い。
映画に登場するのは、すぐ隣に住んでいながら40年間仲たがいをしている老いたキディーとグミーの兄弟。同じ羊の牧畜を生業として、コンテストでもライバル関係。
オマケに独居老人同士で歩み寄ることは決してない。
しかし、村を襲った予期せぬ疫病の拡大にはイヤでも協力してゆくしかない…。
何といってもアイスランドの絶景が脳裏に焼き付く。
ろくに作物も育たずに生活基盤が羊の牧畜より選択肢がない地に生きるものの過酷さが根底にある。
この厳しい自然の中で、古くから住民たちの生活を支えてきた羊は何ものにも代えがたい存在であろうし、その血筋にこだわるのも彼ら自身だからだろう。
白髭を生やした姿が羊に重なる老兄弟の着るロピーセーターが愛らしい。
こじれた原因を想像にゆだねてセリフ量も控えめだったりするのも、説明的になるのを恐れたためだろうか。
牧羊犬が意外なところで活躍するのは思わず笑ってしまった。
シリアスとユーモアが入りまじり比較的シンプルな筋運びだが、最後のオチには納得しながらも複雑な思いにかられる。
老婆心ながら、鑑賞予定の方は予告編は見ないか、忘れた方がベターだと思います。(苦笑)

ログインしてコメントを確認・投稿する