『
ムアラフ 改心』
わずか51歳で他界してしまったマレーシアの監督ヤスミン・アハマド。
国内でソフト化されている作品はないようなので、特別な上映を待つしかない。
(そういえば、今朝の情報で米国クライテリオン社から、来年3月に『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』のソフト化の話が出ていたなぁ…。日本語はないみたいだけど購入するか)
イスラーム映画祭という聞きなれない映画祭で、代表作(といっても生涯で長編6本のみ)の一つ『ムアラフ 改心』が上映。
(日本では2008年に東京国際映画祭で初上映されたらしい。)
タイトルにある<ムアラフ>とは改宗者の事を指す言葉らしい。
映画では父の元から逃げてきた姉妹(アニとアナ)とペナンに住む母と疎遠になっている青年ブライアンの話が語られる。
アニは母が死んで、父は後妻を娶る。しかし、姉妹たちはいつまでも亡き母を思い続けていて、新しい母になつこうとはしない。それを快く思わない父親は何かにつけて力で抑え付けようとする。
方や、アナが通う学校の教師をするブライアンは幼少期のトラウマから親元を離れて暮らす。
しかし、息子の元には頻繁に母から電話が入る。
共に心が傷つき親に複雑な思いを抱いている者たちの物語。
話の理解のためには、バックにある宗教を知るのが手掛かりの一つだという。
ムスリムのアニとクリスチャンのブライアンの間には淡い恋心が生まれるのだが、マレーシアのムスリムの決まりでは非ムスリムと結婚するにはどちらかが改宗しないとならないらしい。
なので簡単に好きだから一緒になりますということにはならない。
ほぼどちらかの家族からは断絶される覚悟が必要になるみたいだ。
これはハードルが高い。大半の日本人には理解しづらい側面かもしれない。
アニは親元から逃げたため妹と貧しい生活を送る。
シンガポールに出て語学を学ぶという向上心や夢も持っているが、それまでは父親に見つからないように生活費を稼がないとならない難しい状況。
所持しているスクーターはおんぼろでエンジンはかかったりかからなかったり安定走行とはいかない。その不安定さこそ姉妹たちのメタファーにつながっている。
大切なキーワードは<家庭>や<家族>であろう。
共に家庭から離れながらも、どこかでそれを求めている。
わだかまりのある親との和解は出来るのか、宗教の壁を越えて家族になれるのか、葛藤に揺れる若者の姿をじっくりと描き出す。
アニのバイト先で仲が良くないという同僚シンディの“改心”にも胸が熱くなる。
未来に厳しさを内包していても、希望が感じられる物語。
結局、イスラーム映画祭はこれ一本しか観なかった。
もっとも『禁じられた歌声』はフランス映画祭で見てますが…。
話は変わって、いよいよ公開ですね、話題のアレ。
…?え…。言わなくともわかるでしょ?
Sで始まって、次はT…。
主役に黒人が出ている映画ですよ。
そうStraight Outta Compton(ストレイト・アウタ・コンプトン)。
実に楽しみだなぁ。

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