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2015年12月16日00:52

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『念念』&『タクシー』@フィルメックス

 いまさらながら、残りのフィルメックス鑑賞作品を…。あせあせ(飛び散る汗)

カチンコ『念念』@フィルメックス

 台東沖にある緑島で生まれたが、両親の離婚で離ればなれになった兄妹ナンとメイ。
メイは母と台北へ、ナンは父と緑島で暮らす。
メイは美術教師となるが画家への道も捨てきれない。
メイの彼氏はボクサーでオリンピックを目指すが、視力の問題があり夢を絶たれようとしている。
一方、父を亡くしたナンは妹の消息を追って台北へと渡る。

 それぞれの夢や想いを抱えて生きる三者を描くが、時制がバラバラで時間軸も自由に行き来するので、理解しにくい側面もある。ましてや幼少期の兄妹と成長後は似てない俳優が演じているのだから…。
一つの話にいくつも欲張ってエピソードを織り込んでいるのが原因か。
話の視点を生き別れの兄妹の事に絞るか、妹と恋人の話にまとめるかのどちらかにした方が良かった気もする。
(個人的には兄妹の話に絞った方が良かったと思うが…。)
突如現れた“謎の人物”の真意も含めて一筋縄ではいかない。

 かつては栄えたらしいが、今は忘れ去られているという緑島をロケ地に選んだのが意味的にも作品に深みを見せていたように思う。
名前が示すように美しい自然が甘い記憶と共に描かれる一コマは、実に詩情豊か。
幻想的なショットを含めて瑞々しい感性は光るものがあると思う。

フォト



カチンコ『タクシー』

 本国で映画が撮れない映画監督ジャファル・パナヒ。
これは逆境を逆手に取った何ともアイディア賞ものではないか。

 テヘランでパナヒ監督自身がタクシーの運転手に扮して、乗客との会話からイランの内情を抉り出す。…とはいっても堅苦しくなく肩の力が抜けたユーモアも交えていて、あっという間に時間は過ぎる。

 イランでは映画を自由に見ることは出来ないために海賊版が横行している。
もちろん女性の地位の低さも知られた話で、そういう社会情勢も盛り込まれている。

 テヘランのタクシー事情というのが面白い。
基本的に乗り合いで、一定方向に流している車に乗り込むらしい。
反対方向に行きたい場合は、いったん下車して逆方向に流している車を拾うか、料金が高くなってもいいなら<貸し切り>にするか…ということらしい。

 そしてテヘランの庶民は皆おしゃべりが好きなので、初対面の人でも遠慮なく会話が弾むという。
まぁ、日本ではあまり考えられない感覚だろうか。(笑)

 車載カメラやデジカメなどのPOV方式で、おそらく相当低予算で作られていると思う。
フェイク・ドキュメンタリーを思わせる手法を取るが、作り物であることを自身でチャカすようなセリフまで用意してあり、終始笑いが絶えない。

 次々と乗り込む乗客が個性的で面白い。
法律上は軽微の犯罪者も乗り込むが誰一人として悪人としては描かない。
乗客以上の凶悪犯が誰なのかどこに問題があるのかは、私ぐらい世間知らずでもわかる。
(だからこそパナヒ監督は本国で映画が撮れない)

 乗客の中では姪っ子が強烈な印象を残す。こまっしゃくれているが、世の中の矛盾を見事に言い当てている。
彼女が本当の姪かどうかは不明だが、同じく乗客の女性弁護士は本物だということ。(彼女の発言はノンフィクションか?)
近い将来、パナヒ監督が自国で堂々と映画を撮れる日が来ることを願う。

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この作品は一般上映してほしい。
(されると思うけど)
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