mixiユーザー(id:11939455)

2015年12月06日00:49

195 view

『ひそひそ星』&『べヒモス』@フィルメックス

カチンコ『ひそひそ星』@フィルメックス2015

 フィルメックスのオープニング作品に選ばれた園子温監督の新作。
しかし、アイディアは四半世紀前からあったという。
ようやく念願かなっての映像化。

 人口の8割がロボットで、2割が人間という世界。
おんぼろアパートのような宇宙船で宅配をするアンドロイドの行動を<3.11以後>の世界に映し出す。

 原発の放射能漏れがなかったら、おそらくこういう作品にはならなかった。
種々の条件から映画化を待たされたというが、待ったからこそできたこともあったはず。
フクシマのこともあるが、何よりヒロイン<鈴木洋子>を神楽坂恵が演じることもなかったであろう。

 30デシベル以上の大声を出すと人間が死ぬ可能性があるということで<ひそひそ声>で会話する人々。
庶民の声を弾圧するという権力に対する皮肉なんだろうか。

 舞台の近未来は便利な時代で、文章も画像もデータ通信で送れてしまう。
辺鄙な惑星まで手間暇かけて送る価値のあるモノとは何かをアンドロイドは知らない。
しかし、世間に価値はなくとも当人にはかけがえのない<想い出>があることを我々は知っている。

 園監督はフクシマでなくした多くの想い出を持つ人々に心を悼み、それを映画に託したのだろう。
ほぼモノクロ表現にしたのも<喪失感>の表れか。
データでは伝わらない思いを抱えながら生きている人間と接して<鈴木洋子>にいかなる変化がみられるかが見どころ。

 元のアイディアが昔の物なので、最近ファンになった人には戸惑う箇所はあるかもしれないが、逆に初期のファンには納得できる作品となっていたのでは?
『ラブ&ピース』のファンには嬉しいサプライズも(?)。
障子を思わせる影絵表現などスタイリッシュさも面白味があった。

フォト


 ただ、淡々としていて声が常にささやきなので、ついウトウトしてしまう。
(これは座席の前後でもあくびがこだましたので、私だけではない)

 ティーチインで園子温監督と主演でプロデューサーの神楽坂恵が登壇。
かなりフランクなお人柄が伝わる。(笑)

フォト


(★★★)

クローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバークローバー

カチンコ『べヒモス』

 聖書に出てくるレヴィアタン、ジズとともに3大モンスターの一つべヒモス(ジズを含まずレヴィアタンとべヒモスで対という説もある)。
これは内モンゴルで働く出稼ぎの人々を撮ったドキュメンタリー。
そこから浮かび上がるのは環境破壊と健康被害の怖ろしい実体。

 3大モンスターのうちリヴァイアサンを題材に取られる映画は多く、米国の漁船をモデルにしたドキュメンタリーがあったが、それに近いスタンスかもしれない。
ただ、こちらはあからさまに政府に対して批判的な内容となっている。

 公害問題は発展途上の国ではよく聞く話で、日本も高度経済成長時代には様々な問題があった。
国家発展の名のもとに地方からの出稼ぎ人は犠牲にさせられる。
国民があってこその国家であるはずなのに、人命が蔑ろにされる現状で<発展>とは片腹痛いくらいである。

 ともかく映し出される風景が圧倒的で、山々に連なるトラックや爆発で切り崩される山を見ていると心が苦しくなる。
古代の美術品で見るような中国の山々も今は開発の手が入って丸裸。

 しかし、それでも開発は止まらない。
出稼ぎに来る人々も生活のために健康を害してでも続けなければならない弱みがある。
最大の皮肉は、そこまで多大な犠牲を払って得た“結果”だ。
余りの代償の大きさに他国のことながら茫然としてしまう。

 いったいどこに正義が存在するのだろうか。

フォト


(★★★★)
3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年12月>
日 月 火 水 木 金 土
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

最近の日記