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2015年11月28日02:19

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『恋人たち』

『恋人たち』

 「恋人たち」とは皮肉なタイトルだ。
ここには甘美さはなく、手を伸ばしても届かないもどかしさだけが横たわる。
理不尽であっても受け入れるしかない現代人の苦悩が3人の視点で描かれる。

 通り魔に妻を殺され、橋梁点検の仕事で裁判の道を探るアツシ。
姑と合わず、夫からも無関心な扱いを受けて“夢見る少女”の世界に住むごくありふれた主婦の瞳子。
有能弁護士だが、ゲイというだけであらぬ疑いを持たれる四ノ宮。

 それぞれが自分にしかわからない苦悩を抱えて生きている。
世の中の欺瞞や本音の部分を抉り出した作品で、微妙に重なり合う人間関係も奥行きを感じさせる。
肩書や職業に皮肉な関連性を持たせてるのも手堅い設定。

 橋口亮輔監督にとって7年ぶりの長編作品ということ。
真剣に問題と向き合い丁寧な描写ではあるが、正直言うと140分はやや長く感じる。
(実は、隣の席の男性が早い段階で泣き始めたために少し引いてしまったのもあるかも…。)

 制作過程が面白い。
メインの3人は比較的無名の俳優たちをオーディションで選んで<あて書き>したという。
その効果は如実に表れていて、誰もがごく自然に役になりきっていたと思う。
脇を常連の個性派俳優たちがサポートしているのも安心感がある。

 ゲイの弁護士が心情を吐露する箇所はグッとくるものがある。
また瞳子自身が実際のイラストを描いているというのも好印象。
本当にリリー・フランキーはこういう軽い嫌味なやつをやらせると本当に上手い。
また黒田大輔も容貌が役柄と合っている。

 ただし、個人的にはカメラと編集が少々引っかかった。
見せ場のシーンでズームで寄る箇所は作為が強すぎると思う。
ドキュメンタリー風にしたかったのだろうか?
ラストのカメラワークも少々あざとく感じた。

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