第28回東京国際映画祭 ラストスパート!
『ルクリ』(コンペティション)
何とも挑戦的な作品。
映画祭ならではかもしれない。(一般上映するとしたらイメフォあたりか?)
ロシアのウクライナ侵攻の不安が動機の一つと語るが、聖書の「楽園追放」を交えてある種の寓話を作り上げている。
取っつきにくさは太鼓判を押す。(笑)
人はなぜ戦争を起こすのか。
答えが出ない問いに対する監督のメッセージだろうか。
深い思索の森にある<禁断の実>とも<心臓>とも取れそうな赤い物体が何とも言えない不安を呼び起こす。
やたらとシンボリックな箇所が多い映画の中でも、本能に訴える箇所だった気がする。
過剰なまでに鳴り響く音楽や音響が特色の一つであろう。
選曲自体はかなりベタなものであるが、シンプルイズベストということか。
ただでさえ難解なのだから、音楽まで難解だったら困惑するだろう。
クラウドファウンディングで資金を募って、キャスト・スタッフ合わせてわずか13人という低予算で製作されたと聞く。
ギャラは出演料はナシで、儲けを均等に分割するんだそう。
個人的に思い出すのは『マーサ、あるいはマーシー・メイ』の人里離れて閉ざされたコミューンのような感じ。
近未来ディストピア作品でも味わう印象か。
今どきの映画としては珍しいアイリスを使ったつなぎには、どんなこだわりがあったのだろうか…。
ここは大所帯の来日だった。
ヴェイコ・オウンプー監督、ユハン・ウルフサクとミルテル・ポフラの主演二人、プロデューサーのティーナ・サビ…。
やはり内容が難解ゆえに監督への質問が多い。
限られた時間の中でのQ&Aなのでプロデューサーにまで中々機会が与えられずに残念。
『家族の映画』(コンペティション)
家族とは何ぞや。…という深淵なるテーマを身近な人間関係で語る。
冒頭、カエルを題材とした自然界の生存競争が流れる。
これが後にじわりと効いてくる。
子供二人を置いて夫婦だけ先にバカンス旅行に出かけるあたりは日本とは感覚が違うよなぁ…と感じるが、そもそもこの両親はざっくばらんな関係なのかもしれない。
子供たちとスカイプするのに母親は素っ裸で会話するんだもの。(笑)
両親のいない間に、姉のアナはぶっ飛んだ女友達を連れてきて、中学生の弟エリクにちょっかいを出す。
ほのぼの青春映画なのかと思っていたが、突然暗雲立ち込めて映画は大きく舵を切る。
「家族の映画」とは「家族の絆」であることは違いないだろうが、思わぬ秘密の暴露に戦慄が走る。
途中で話の真の姿が見えてから一気に引き込まれる。
それまで見えていた家族の肖像が大きく崩れ落ちる瞬間だった。
犬がキーパーソンというかキードッグ(?)で、
愛犬オットーが家族の絆の大切な暗喩となっていて、オットーの名演技に泣ける。
「子はかすがい」などというが、この場合は
「犬こそかすがい」…と言って差し支えないだろう。
ビターな中にもほのかに希望を感じさせる終わり方も秀逸。
この上映も大所帯となった。
オルモ・オメルズ監督、女優のイェノべーファ・ボコバー、プロデューサーのイジー・コネチニー、撮影監督のルカーシュ・ミロタの4人。
Q&Aでハプニング
なんと監督の英語を通訳さんが英語に訳していた。(笑)
余りに堂々としていたので、一瞬「え?」と思ったけど、時差があって会場がざわつきだした。
終盤で皆さんお疲れなのでしょうか?
いずれにしろ該当の通訳さんには忘れられない作品になったでしょう。
いや、いいものを見た。(笑)
さて、ダラダラ書き連ねた今年のTIFFもようやく終了。
次はフィンランド映画祭が控えているな。(苦笑)

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