『
裁かれるは善人のみ』
とりわけ聖書の中でも難解とされるヨブ記の翻案とか、監督がアンドレイ・ズビャギンツェフということで多少身構えてしまったが、これがめっぽう面白い。
誰にでもオススメできるとは言わないが、芸術系が苦手でなければ一見の価値はある。
少なくともこれまでズビャギンツェフ作品がダメだった人も挑戦してみて欲しい。
自動車修理工として働くコーリャの敷地が市長に巻き上げられそうになり、友人の弁護士をモスクワから呼び寄せるのだが…。
原題を見れば推測がつくようにヨブ記の中でもレヴィアタンに言及。
舞台を現代ロシアに移して、理不尽な不幸に見舞われる男の悲劇を描く。
レヴィアタンは非力な人間には到底かなわぬ<大きな力>として現れる。
この映画の中で何を指すかは…言わずもがなであろう。
映画発想のヒントがアメリカで起きた
キルドーザー事件だと聞く。
(ただし、あくまでヒントであり再現ではない。)
まぁ地上げと権力者の構図は古今東西問わずだ。
終始手綱を緩めないズビャギンツェフの演出と荒涼としたロシアの風景に寒気を覚える。
笑えない権力の横暴が満載の話だが、随所にユーモアを交える。
裁判所のシーンとか射撃場の的とか。(笑)
おかげで緩急つく。
ただ、ヨブ記の中のヨブは善人だったと思うが、本作の“ヨブ役”は本当に善人なのかという疑念は多少残るのだが…。
2時間20分が短く感じる。
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