『
ボヴァリー夫人とパン屋』
フローベールの代表作「ボヴァリー夫人」をなぞらえながらも、ゲージュツ的には違うところを目指す『ココ・アヴァン・シャネル』『美しい絵の崩壊』のアンヌ・フォンテーヌ監督作。
奔放なまま転がり続けるヒロイン・ジェマを見つめるパン屋のオヤジ・マルタンの妄想力に笑う。
隣に越してきた奥さんの苗字がボヴァリーで、単なる偶然の積み重ねだと思うが、勝手に運命論的解釈をしてしまうあたりはマルタンは年喰ってる割に青いというか、愚かというか…悲しい男のサガを見るようでもある。
ユーモアとエロスが絡むあたりはフランスの艶話にも通じそうな印象で、もっと堂々と笑って鑑賞する方がいいのかもしれないが、ちょっと痛くて笑うのをためらうシーンも…。(苦笑)
女性監督らしい観察眼が光るというか、女性の冷静なサバイバル術と男の熱くなりがちで身勝手な妄想描写は的確な洞察力なのかもしれない。
パン屋のオヤジがパン生地をこねるのは、明らかに女性の肉体を意識しているだろうし、散りばめられた伏線も上手く働く。
イメージを勝手に重ねられるジェマ自身が「ボヴァリー夫人」を知らないというのがツボで、計算してないエロさも拍車をかける。
文学オタクのオヤジから見た現実と幻想の混濁で最後まで楽しめるものの少し浅い印象も…。
パン屋のスケベおやじマルタンを演じるベテラン俳優ファブリス・ルキーニやジェマ役のジェマ・アータートンも適役。(ヒロインの名前が同じジェマなのは偶然だろうか?)
舞台となっているノルマンディー地方の風景も魅力的だが、登場するパンにはさらにそそられる。
ところで話はかわるけど、テレ東の『YOUは〜』を見ていて気になることがある。
それはノックのマナー。
ずいぶん前からだけど、2回しかしないのだ。
ちょっと調べればわかることだが、基本は4回(以上)。親子や恋人など親しい間柄なら3回という決まり。
この『ボヴァリー夫人〜』の映画でもキチンと描かれている。
ジェマはちゃんと4回ノックする。そして親しくなると3回に減らすのだ。
日本の一般人レベルならともかくテレビ局の局員が(しかも外国人相手の番組で)常識的なことを蔑ろにしているのは、内心穏やかではない。
通訳さんなら知っていそうなんだけど、口は挟まないのかな?

ログインしてコメントを確認・投稿する